東京高等裁判所 昭和49年(行ケ)82号 判決
一 請求原因一ないし同三の事実は当事者間に争いがない。
二 そこで、原告の主張する審決取消事由の存否について検討する。
1 請求原因四の1の主張について
(一) 本願発明の技術内容
本願発明の要旨は、請求原因二、に記載のとおりである(この点は当事者間に争いがない。)。
成立に争いのない甲第四号証(手続補正書、ことにその第一頁一一行~第三頁八行、第一一頁一七行~第一三頁九行)によれば、本願発明の主たる目的ないし効果は、いわゆる「ミラー積分回路」の原理を用いたテレビジヨン受像機のトランジスタ垂直偏向回路において、特に電源電圧の変動に由来する走査ラスタ寸法の変動を防止するために、スイツチング・トランジスタ(第一のトランジスタ90)の全電極の動作電圧並びに出力段増幅器を構成する第二のトランジスタ60の負帰還回路のコンデンサ80の充電電圧を、共通の電圧依存抵抗器140の働きによつて規制することにあることが認められる。
(二) 引用例のものの技術内容
成立に争いのない甲第五号証(引用例の特許公報)によれば、その第一頁左欄七行~一〇行、三八行~四〇行、第四頁右欄二二行~第五頁左欄一三行)には、引用例のものも、テレビジヨン受像機等のトランジスタ垂直偏向回路に関するものであつて、その主たる目的は、受信された雑音信号に対して不感な、改良されたテレビジヨン・トランジスタ縦(すなわち、垂直)偏向回路を提供することにあることが、また、第三頁左欄二行~二七行、同右欄三一行~四八行、第一頁右欄三一行~三四行には、引用例のものにおいても、負帰還回路のコンデンサ(蓄電器150)に対する充電を、可及的に一定の充電電圧により行なうという、積分作用の安定化についての技術的思想がそれぞれ示されていることが認められる。
すなわち、右甲第五号証によれば、引用例のものは、右目的を達成するために、その特許請求の範囲記載の構成をとつたものであり、それを具体化した実施例の構成、作用が別紙第二図面(〔編註〕省略)の第1図に示す回路図及び第2図に示す波形図を用いて説明されていることが認められる。
(三) 両者の対比
(目的について)
前示認定の事実によれば、この種のトランジスタ垂直偏向回路において、走査ラスタ寸法の変動を防止するという、いわば上位概念的な目的は引用例のものにも内在していると認められるが、引用例のものにおいては、受信された雑音パルス(前掲甲第五号証第一頁左欄二一行~二五行)に起因する走査ラスタ寸法の変動の防止をも目的とするものではあるが、本願発明のように電源電圧の変動によるものの防止が意図されているのではない。
(構成について)
本願発明の構成要件(A)ないし構成要件(I)に対応させて、順次検討する。
構成要件(A)
前掲甲第五号証によれば、引用例のものにおける「放電トランジスタ80」は「ベース82」「エミツタ84」及び「コレクタ86」を備えており、かつ、同期パルスにより非導通状態から導通状態に周期的に切換えられることが認められるから、これは恰も、「導通状態と非導通状態との間を周期的に切換えられ」、かつ、「ベース電極93「エミツタ電極91」及び「コレクタ電極95」を有する本願発明の「第一のトランジスタ90」に相当するものである。
したがつて、本願発明の構成要件(A)は引用例のものにも具備されている。
構成要件(B)
同号証(第二頁左欄五二行)によれば、引用例のものにおける「放電トランジスタ80」の「エミツタ84は直接接地される」ものと認められるところ、一般に、電子回路の直流電源については、その二つの端子のいずれを基準電位点とするかということは、単に相対的な問題に過ぎないから(たゞし、常識的には、接地側を基準電位点とみる。)、引用例のものにおける「接地」は、本願発明の「電圧が変動する可能性のある単一方向極性の電位源B+に相当するとみることができる。
したがつて、本願発明の構成要件(B)もまた引用例に具備されている。
構成要件(C)
同号証によれば、引用例のものにおける「駆動トランジスタ98」及び「補足ブツシユブル回路」として配列された「出力トランジスタ106、118」は、全体として一つの増幅器を形成しているものと認められるところ、右の「出力トランジスタ106、118」の各「エミツタ110、122」は、「出力結合蓄電器136」を介して「縦ヨークコイル138」に結合されているから、これらのエミツタは、それぞれ、増幅器の出力端子に接続されている、ということができる。また、同号証(第二頁右欄一一行~四六行、同五一行~第三頁左欄一行)によれば、「トランジスタ106」の「コレクタ112」は、「抵抗126」を介して接地、すなわち、単一方向極性電位源に接続され、「トランジスタ118」の「コレクタ124」は、「-12V」、すなわち、基準電位点に接続されていることが認められる。
これに対し、本願発明の構成要件(C)によれば、入力端子O、出力端子Yを有する増幅器における「第二のトランジスタ60」の「エミツタ電極61」は「単一方向極性電位源B+に結合され、かつ、「コレクタ電極65」は出力端子に結合されているものである。
したがつて、本願発明は、その構成要件(C)について、引用例のものの対応部分との間に差異があり、これは、審決が認定している「相違点(1)」に対応するものと認められる。
構成要件(D)
同号証(第三頁左欄二二行~二七行、同右欄三一行~四〇行)によれば、引用例のものにおける「充電蓄電器150」は本願発明の「コンデンサ80」に対応するものであり、この「充電蓄電器150」「蓄電器154」及び抵抗152よりなる「第三の帰還電路」は、本願発明において、増幅器の出力端子Yと入力端子Oとの間に接続された、コンデンサ80を含む負帰還回路に対応するものと認められる。
そうすれば、本願発明の構成要件(D)を、引用例のものは具備しているということができる。
構成要件(E)
同号証(第二頁右欄一一行~一三行)によれば、引用例のものにおいて、「放電トランジスタ80」の「コレクタ86」は、「出力トランジスタ106、118」と共に増幅器を構成する「駆動トランジスタ98」の「ベース100」に接続されており、この構成は、本願発明において、「第一のトランジスタ90」の「コレクタ電極95」が、増幅器の「入力端子O」に接続されていることに対応するものと認められる。
したがつて、引用例のものは本願発明の構成要件(E)をも具備している。
構成要件(F)
既述のとおり、引用例のものにおける「駆動トランジスタ98」は「出力トランジスタ106、118」と共に増幅器を構成するものであつて、その「ベース100」は本願発明の「上記増幅器の入力端子O」に相当し、かつ、引用例のものの「-12V」は一応本願発明にいう「基準電位点」とみることができ、さらに、前掲甲第五号証の第三頁左欄一二行~一九行の記載によれば、引用例のものにおける右の入力端子、すなわち、「ベース100」と「-12V」間にある「直流伝導性負帰還電路」は「(固定)抵抗142、146」及び「可変抵抗144」よりなることが認められるから、引用例のものにおけるこれらの抵抗142、146及び144は、被告の主張するように、本願発明における「固定抵抗器141」及び「可変抵抗器84」にそれぞれ対応するようにもみえる。
しかしながら、本願発明では、「可変抵抗器84」と「固定抵抗器141」との「直列回路」そのものにより、増幅器の入力端子が基準電位点に結合されている(構成要件(F))のに対し、引用例のものの右の構成においては、「(固定)抵抗142、146」及び「可変抵抗144」は、あくまでも直流伝導性負帰還電路をなすものであつて、「出力トランジスタ118」のエミツタ―コレクタ通路を介さない限り、「-12V」、すなわち基準電位点に結合されることにならない。
構成要件(G)
前掲甲第五号証によれば、引用例のものにおける「可変抵抗144」、「蓄電器150」を含む「第三の帰還電路」、「出力トランジスタ118」及び「温度依存抵抗器90」が、それぞれ、本願発明における「可変抵抗器84」、「コンデンサ80」を含む「負帰還回路」、「第二のトランジスタ60」及び「電圧依存抵抗器140」に対応するとした場合、本願発明の構成要件(G)にいう「直列回路網」に相当する引用例のものの構成は、正確には、「可変抵抗144」、「固定抵抗142、146」よりなる「直流伝導性負帰還電路」と、右の「蓄電器150」を含む「第三の帰還電路」と、「出力トランジスタ118」のエミツタ―コレクタ通路とから構成されたものであり、このような「直列回路網」が、右の「温度依存抵抗器90」、「抵抗92」、「結合(抵抗)93」の直列回路と並列に接続されていることが認められる。
したがつて、構成要件(G)に関して、本願発明と引用例のものとの間には、審決認定の「相違点(2)」のような差異がある。
構成要件(H)
既述のとおり、引用例のものにおける「ベース82」を有する「放電トランジスタ80」は、本願発明の「ベース電極93」を有する「第一のトランジスタ90」に相当するものである。
ところで、被告の主張するように、本願発明における「可変抵抗器84」及び「固定抵抗器141」にそれぞれ対応するものが、引用例のものにおける「可変抵抗144」及び「(固定)抵抗142、146」であるとすると、この場合、引用例のものには、右の「可変抵抗144」と、「(固定)抵抗142」又は「同146」との接続点を、特に「放電トランジスタ80」の「ベース82」に接続するためのいかなる抵抗器ないし接続手段も見当らない。
もつとも、引用例のものの「放電トランジスタ80」の「ベース82」には、「抵抗88」の一端子が接続されていることが前掲甲第五号証によつて認められるが、この「抵抗88」の他端子は単に「温度依存抵抗器90」にのみ接続してあるに過ぎない。
したがつて、審決の認定している「相違点(3)」は、内容的に必ずしも正確とはいえないが、両者の間に、少なくとも構成要件(H)に関し、そのような相違点があることは明らかである。
構成要件(I)
引用例のものがテレビジヨン受像機におけるトランジスタ化された垂直偏向回路に関するものであることは既述のとおりであるから、本願発明の構成要件(I)は引用例のものも具備している。
以上のように本願発明と引用例のものとの各構成を対比したところによれば、本願発明は、その構成要件(A)(B)(D)(E)(I)においては引用例のものと軌を一にするけれども、構成要件(C)(F)<G>(H)については上述のとおりの差異がある。そして、構成要件(C)についての差異は審決認定の「相違点(1)」に相当する(この相違点(1)の認定については、原告も争つていない。)。他方、構成要件(G)及び同(H)についての差異は、(この差異は既述のように、「相違点(2)」及び「同(3)」にそれぞれ相当する。)、構成要件(F)についての差異と密接な関連を有するものであり、原告が主張するように、全体として本願発明に対して「並列接続の態様の違い」を形成するということができる。
以上のような、構成要件(F)(G)(H)についての差異を併せ考えると、両者の構成が、「並列接続の態様」において、同等なものとみることのできないことは明らかである。
その上、引用例のものでは、「温度依存抵抗器90」を用いてなる構成によつて、単に、本願発明の「第一のトランジスタ90」に相当する「放電トランジスタ80」に対する温度補償をしうるに過ぎず、「充電蓄電器150」の充電回路、すなわち、積分作用のための「第三の帰還電路」へは、直接何の影響も及ぼさない(甲第五号証第三頁左欄二二行~二七行、同右欄三一行~四〇行)のに対し、本願発明においては、「電圧依存抵抗器140」を、特に構成要件(F)(G)(H)に規定したとおりに、他の構成要素と関連せしめた構成によつて、「第一のトランジスタ90」の全動作電圧(すなわち、ベスーエミツタ間バイアス電圧、コレクターエミツタ間バイアス電圧など)を安定化することができるばかりでなく、同時に、「コンデンサ80」の充電電圧の安定化をも併せ達成することができるという、引用例のものからは予測しえない顕著な効果を奏するものであると認められる。
(四) 被告の主張について
被告は、審決において、引用例のものが「増幅器の入力端子を基準電位点に結合するための可変抵抗器と固定抵抗器との直列回路を有する」と認定したことは誤りでない、と主張する。
しかしながら、引用例(甲第五号証)の第1図から明らかなように、「駆動トランジスタ98」及び「出力トランジスタ106、118」よりなる増幅器の入力端子(すなわち、駆動トランジスタ98のベース100)は、「可変抵抗144」及び「(固定)抵抗142、146」の直列接続のみによつて「-12V」すなわち「基準電位点」に結合されるのではなく、このような結合が完結されるためには、さらに、「出力トランジスタ118」の導通、すなわち、そのエミツタ―コレクタ通路を介しての接続がなければならない。
しかるに、「出力トランジスタ118」は、同106と共に、いわゆる「相補形プツシユプル増幅回路」(甲第五号証第二頁右欄三五行)を形成し、垂直走査の掃引期間の前半と後半とで、交互に導通又は非導通の状態になるものであるから(同第三頁右欄四行~一七行)、「出力トランジスタ118」が非導通となる期間、すなわち、掃引の後半においては、そのエミツターコレクタ通路を介しての、右の結合が断たれることになる。その上、引用例のものにおける「可変抵抗144」及び「(固定)抵抗142、146」は、「充電蓄電器150」に対する充電路の一部を構成するとはいうものの、これら自体はまた、「直流伝導性負帰還電路」であるので(甲第五号証第三頁左欄一二行~二一行)、これらの各抵抗が、本願発明における「第一のトランジスタ90」の負荷としてそれの「コレクタ95」と、「接地」すなわち「基準電位点」との間に接続された「可変抵抗器84」及び「固定抵抗器141」のそれぞれ均等的手段であると断定することはできない。
次に、被告は、引用例のものにおいては「電源の両極間に温度依存抵抗器90と固定抵抗器92、93が接続されているけれども、本願発明においても、電源の両極間に電圧依存抵抗器140と固定抵抗器141が接続されているとみることができるので、この点において差がない。」と主張しているけれども、引用例のものにおける「温度依存抵抗器90」は、本願発明の「第一のトランジスタ90」に相当するところの、「放電トランジスタ80」のベース回路、すなわち、入力回路にのみ接続されていて、「放電トランジスタ80」の非導通時に「充電蓄電器150」の充電がされる関係上、「温度依存抵抗器90」は、充電電圧を直接左右するものではない。
これに対して、本願発明における「電圧依存抵抗器140」は、単に「抵抗器142」を通じて「第一のトランジスタ90」の「ベース93」の回路、すなわち、入力回路に接続されているのみならず(構成要件(H))、さらに、その「コレクタ95」の回路、すなわち、出力回路にも接続されている(構成要件(F)(G))ので、「第一のトランジスタ90」が非導通の期間に行われる充電動作においては、この「電圧依存抵抗器140」の有する定電圧特性によつて、充電電圧をも一定化するという作用が、「第一のトランジスタ90」の全動作電圧の安定化作用に併せ営まれることは明らかである。
したがつて、両者のそれぞれにおける右の構成は、電子回路技術上、同一視することのできないものというべく、被告の主張は採用できない。
2 請求原因四の2の主張について
原告は、審決が、引用例のものにおける温度依存抵抗器がコンデンサの充電動作に与える影響を誤認したため、相違点(2)についての判断を誤つたものである、と主張する。
審決が、引用例のものにおける温度依存抵抗器がコンデンサの充電動作に与える影響を誤認していると認むべきことは、前1項の判断から明らかである。
被告は、「本願発明について「固定抵抗器141」を省略して原告のいう「並列接続の態様」をいうことができるとするならば、引用例のものについても同様に「(固定)抵抗92、93」に触れなくてもよい筈である。」旨の主張をしているけれども、引用例のものにおいて、「温度依存抵抗器90」は、「放電トランジスタ80」(本願発明の「第一のトランジスタ」に相当する。)の出力側でなく、その入力側であるベース回路にのみ接続されており、したがつて、後段の増幅器(既述のように、「駆動トランジスタ98」及び「出力トランジスタ106、118」により形成されるもの)の出力端子から入力端子への負帰還回路である「第三の帰還電路」及び「直流伝導性負帰還電路」などによつて形成されるところの、「充電蓄電器150」に対する充電路とは、機能的ないし作用的に、直接的な関わりのないものであり、「充電蓄電器150」の充電動作に対し、温度依存抵抗器が何ら直接的な影響を及ぼさないことは電子回路における技術常識に徴し明らかであるから、採用することができない。
また、被告は、「本願発明が電圧依存抵抗器によつて電源電圧の変動にも拘らず、コンデンサ充電電流をほぼ一定にするといつても、それは屋上屋を重ねるの類いに過ぎない。」旨主張するけれども、既述のように、本願発明では、「電圧依存抵抗器140」を適用したことに基づいて、「コンデンサ80」に対する充電電圧の安定化、ひいては、充電電流の一定化を一層確実ならしめたものと認められるから、その主張は採用することができない。
さらに、被告は、「電圧依存抵抗器がコンデンサ充電電圧の補償に用いられているという原告の主張は、電圧依存抵抗器の作用を過大に評価するものである。」旨主張しているけれども、右主張は、「第二のトランジスタ」のエミツターコレクタ間に抵抗性素子を接続する点が本願発明の要旨中に含まれていないことを前提とするものであるところ、本願発明は、「偏向回路装置」であるとともに(構成要件(I))、本願発明の明細書に記載されている、本願発明の目的(既述の1の(一)の項)並びに図面第1図、第2図の各実施例についての説明によれば、構成要件(I)の偏向回路装置は、テレビジヨン受像機等における偏向回路装置、特にその垂直偏向回路装置に関するものであつて、当然、「映像管10」の電子ビームの偏向に必要な(磁界を発生させるための)「抵抗性のヨーク巻線V、V´」(前掲甲第四号証第三頁一〇行~第四頁九行)が備えられているものでなければならないことが認められるから、構成要件(C)における「増幅器の出力端子」には「抵抗性のヨーク巻線」が接続されているべきであつて、この「抵抗性のヨーク巻線」は、当然の要件として、本願発明の要旨中に含まれていると解せられるので、被告の主張は採用できない。
なお、被告は、「引用例の温度依存抵抗器と本願発明の電圧依存抵抗器とは、回路内の同じような個所に使用され、かつ、似たような作用を営むものである。」旨主張しているけれども、本願発明における「電圧依存抵抗器140」は、前掲の構成要件(E)(F)(G)を総合すれば明らかなように、被告主張の接続に加えて、さらに「可変抵抗器84」を介して、「第一のトランジスタ90」の「コレクタ95」及び「増幅器の入力端子O」、したがつて「コンデンサ80」を含む「負帰還回路」にも接続されており、また、電圧依存抵抗器と温度依存抵抗器とではその性質、用途を全く異にすることが明らかであつて、被告の主張はこの点についての誤解を前提とするものというべく、採用することができない。
三 そうすれば、請求原因四の1、2の原告の主張はこれを肯認することができ、以上の判断に徴すれば、本願発明をもつて引用例のものに基いて当業者が容易に発明をすることができたものとすることは、その余の審決取消に係る事由の存否について判断するまでもなく、相当でないことが明らかであるから、これと結論を異にする審決は判断を誤つた違法があるものとして取消を免れないので、本訴請求を正当として認容することとする。
〔編註〕 本願発明の要旨は左のとおりである。
(A) 導通状態と非導通状態との間を周期的に切換えられ、かつ、ベース電極とエミツタ電極とコレクタ電極とを有する第一のトランジスタと、
(B) 該第一のトランジスタのエミツタ電極を、電圧が変動する可能性のある単一方向極性の電位源に結合するための手段と、
(C) 入力端子及び出力端子を有する増幅器であつて、上記単一方向極性の電位源に結合されたエミツタ電極及び上記出力端子に結合されたコレクタ電極を具えた第二のトランジスタを有するものと、
(D) 上記増幅器の出力端子と入力端子との間に接続されたコンデンサを含む負帰還回路と、
(E) 上記第一のトランジスタのコレクタ電極を上記増幅器の入力端子に接続するための手段と、
(F) 上記増幅器の入力端子を基準電位点に結合するための可変抵抗器と固定抵抗器との直列回路と、
(G) 上記可変抵抗器と上記帰還回路と上記第二のトランジスタのエミツターコレクタ通路とからなる直列回路網と並列に接続された電圧依存抵抗器と、
(H) 上記第一のトランジスタのベース電極を上記可変抵抗器と固定抵抗器との接続点に接続するための抵抗器と、
(I) からなる偏向回路装置。